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「あれは、ただ二酸化炭素が原因っぽいからそうしてるだけ。根拠なし!実際、気温と二酸化炭素の増減とかのグラフを照らし合わしてみたら解るんだが、時期的に気温の方が上がるのが早いんだぜ。気温が上がった後に二酸化炭素が増える…みたいな感じだ」 「へぇ~。それは知らなかった。で、温暖化の原因がフォトンベルトだという根拠は?」 「いやまぁそれも…」 「その人の予言?」 「うん…」 「なんだよ、じゃあ一緒じゃん」 「でも俺は信じるね!人類は滅びる運命なんだからね!」 「…てかさ、2000年問題とかと同じで、結局何にもないとかいうオチじゃないの?」 「いやいやいや、2000年問題とこれは全然違う話だ。2000年問題ってのは、コンピュータの時計の年全てが19**で計算されていたのに、急に20**になってバグが発生して世界中のコンピュータがダウンするかもしれないっていう話だ。これとは対照的な科学っぽい話だ」 「そうだな。てか自分で対照的な科学って言うなよ」 「別にいいじゃんか」 「…でもさ」 「?」 「もしこの話が嘘だったらどうするんだよ。フォトンベルトなんか存在しなくて、明日になっても地球には何にも変化はなくて、もしそうだったらどうするんだよ。」 「もし…そうだったら…」 「うん。そうだったら」 「これ以上嬉しいことはないじゃないか。」 「へ?」 「だって死ななくて済むんだぞ。俺たち人類」 「あ、ああ…そうだな」 「…でも、どうやって死ぬんだろ。俺たち。あの人もはっきりとはわからないって言ってたし」 「それを見届けるために俺たちはここにいるんだろ」 「…ああ。多分大丈夫だと思うんだ。電車の中なら少しは死ぬのを遅らせれると思う。そして俺は他の人間が死ぬ所を見る」 「フッ…なんかお前らしいな。てかそれも」 「その人が言ってた」 「やっぱり。…でもなんで俺を誘ったんだ?一人でもいけただろう」 「いや、一人で死ぬのは嫌だし……最期くらい親友のお前と居たいんだ」 「成る程な。じゃ俺も楽しむぜ。人類の最期。…そういえば今何時何分?」 「23時58分!…もうすぐだ」
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