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「まさに…地獄絵図だ。建物の中から人が…」
「人によって症状がバラバラだな。あっちの奴は頭抱えて暴れてる。あっちの奴は包丁振り回してるぜ。あっちの奴は…ゲロ吐きながら自販機に体当たりしてる」
「うえ。マジで気持ち悪い。俺まで吐きそう」
「あんまり見ない方がいいな。…それより。外がアウトみたいだから一応、電車から外に繋がる小さな隙間を埋めとかないか?」
「それは俺も思ってたんだ。ドアの隙間をガムテープで埋めておこう」
「そうしよう。お前、こっちら辺のドア頼む。俺向こうら辺のドアやるから」
「オッケー。ガムテープ借りるよ」
「…よいしょっと。これでいいな。お前終わったか?」
「俺もここでラストだ。…ん?」
「どうした?」
「いや、さっきの前の車両の人。窓あけて外に出ようとしてる」
「どれどれ。…うわ、ホントだ。可哀相に。外に出たらアウトなのにな」
「推測出来なかったのかな?外はアウトって。…で、助ける?あの人」
「止めておこう。実験にもなるしな」
「実験?」
「本当に外はアウトかどうかの実験。一瞬耐え切ればもう外に出てもセーフってパターンもあるだろ?」
「成る程。ならよく見とかなくちゃ」
「お、窓開いたぜ」
『ああああ!!!』
「なっ…あの人開けた瞬間頭かかえて叫び始めた」
『痛い!痛い!頭が痛いぃいいい!』
「これは…」
『…!』
「やばいぞ金村!あの人、こっちに気付いたみたいだ!」
『オイあんたら!助けてくれ!オイ!頭が割れそうなんだよ!』
「ガムテープでドアを固定しろ!!早く!!今開けられたらアウトだ!!!」
「分かってる!でも固定ってどうやってやればいいんだよ!」
「貸せ!取っ手と横の金具をグルグル巻きにするんだよ!」
『ハァハァ…助けてくれ…』
「向こう側のドアまで来たぞ!」
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