プロローグ

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『この指とまれ』 何年前だろう。俺がこの言葉を最後に言ったのは…。 この言葉を叫んでも俺の指を握ってくれるのは一人だけ。 「何して遊ぶの?」 と、俺の指を握りながら風はいつも言っていた。 『二人で何して遊ぶんだよ』 と、決まって俺はこの言葉をお前に言う。 毎日が同じことの繰り返し。だが、この言葉を言えば風はすぐに家から飛び出しては俺の指を握る。 優しくて 強くて、 暖かくて、 俺よりも小さな手。 俺は、くだらない毎日を同じように繰り返していても楽しくてしょうがなかった。 だって…この言葉を言えば風は絶対に俺の指を握ってくれたから。 あの日が来るまでは…。
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