最初で最後の第一話

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    鳴り響く機械音。 数瞬遅れ、パタパタと暖か味のある音が続く。 音の主は、一定間隔で存在を訴える物の首根っこを躊躇なく掴んだ。 ξ゚⊿゚)ξ「はい内藤ですがー?」   『内藤ですがーwwwww』   ξ;゚⊿゚)ξ「……は?」   『――痛い痛いッッ』   『――から、貸しなさい!!』   ξ゚⊿゚)ξ「あれ、その声って……」   『ツンちゃん、ごめんね! このお馬鹿さんちょっと酔ってて……。えっと、今公園前で、えーと……とにかく、もうすぐ家に着くからー!』   ξ゚⊿゚)ξ「あっ、うん。了解了解! 気を付けて帰ってきてね!」   『はーい。じゃあ切るねっ! ――っと待ちなさいー!』     遠くなった声を最後に、何も伝えることのなくなった物を女性は降ろした。   ツンちゃん。 女性はそう呼ばれている。   そこには、ただの知人や友人には無い親近感と情愛の念が込められていた。   きっと、それは――。  
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