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月明かりが微かに夜を彩る。森の木々が月光に反射し、神秘的な夜である。
しかし、そんな幻想的な光景にそぐわない、異物があった。
それは、うめき声であり、威嚇であり、悲鳴であり、そして・・・断抹魔であった。
「ギシャァァァァ!!・・」
それはそんな声をあげて、跳びかかった。
その先には、一人の少年が立っていた。
薄暗い森の中にありながら、やけにハッキリと分かる、銀髪と銀の瞳。
少年は、まるで舞うかの様に“それ”をかわす。
思わず跳び過ぎたそれは、月明かりの元まで出てしまい、その輪郭を今、現した。
それは・・・まさしく異形のモノだった。
暗闇の中でもその存在感を際立たせていた赤い目。牛ほどある体区に、狼の容姿。そしてなにより違和感を感じさせる、額の目。
その異形を総称して魔獣と呼ばれる化け物が、何体も、何十体も少年の周りにはびこっていた。
少年「やれやれ・・・いい加減めんどくさいな。」
そんな危機的状況にも関わらず、少年には悲壮感は感じられない。
ゆっくりと雲が、流れ、月明かりを隠した。
魔獣「グルルルル・・・!!」
暗闇が訪れた瞬間、一斉に魔獣たちが、少年に跳びかかった。
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