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「ハァ……、ギリギリセーフ……。」
俺はチャイムが鳴る音と同時に教室に滑り込んだ。
「海堂くん遅~い!始業式から遅刻ギリギリだなんて考えられないよ!」
教室に入って、初めに俺に声をかけてきたこの人は、芹沢 美琴(せりざわ みこと)。1年生の時から同じクラスだった人だ。
「まったくだ。相変わらず度胸あるな、霧也も。2年生の初めから遅刻してウケを狙うつもりだったんだな。」
こいつは俺の幼馴染みの、奈波 一成(ななみ かずなり)だ。メガネを掛けていて、見た目通りの秀才である。
「ウケ取るためにわざわざ遅刻なんてしねーよ。ちょっと寝坊だけだ。」
「まぁとにかくさ、2年生も同じクラスってことだから、よろしくね!」
芹沢さんはとびっきりの笑顔で俺の手を握ってきた。
「…よ、よろしく。」
芹沢さんの手は温かかった。
俺は少し照れていた。
急に女の子に手を握られると、さずがにドキッとしてしまう。
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