Magic3.― 予感 ―

2/3
前へ
/83ページ
次へ
            「ハァ……、ギリギリセーフ……。」              俺はチャイムが鳴る音と同時に教室に滑り込んだ。                                      「海堂くん遅~い!始業式から遅刻ギリギリだなんて考えられないよ!」              教室に入って、初めに俺に声をかけてきたこの人は、芹沢 美琴(せりざわ みこと)。1年生の時から同じクラスだった人だ。             「まったくだ。相変わらず度胸あるな、霧也も。2年生の初めから遅刻してウケを狙うつもりだったんだな。」              こいつは俺の幼馴染みの、奈波 一成(ななみ かずなり)だ。メガネを掛けていて、見た目通りの秀才である。             「ウケ取るためにわざわざ遅刻なんてしねーよ。ちょっと寝坊だけだ。」             「まぁとにかくさ、2年生も同じクラスってことだから、よろしくね!」              芹沢さんはとびっきりの笑顔で俺の手を握ってきた。             「…よ、よろしく。」              芹沢さんの手は温かかった。              俺は少し照れていた。              急に女の子に手を握られると、さずがにドキッとしてしまう。                                     
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

51人が本棚に入れています
本棚に追加