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「どこが分からない?」
「……え?」
教科書から顔を上げると、メガネのお兄さんが、ぼくを見ていた。
白くて細長い顔に、大きな眼鏡が不釣り合いだった。
「えっと……大丈夫です」
「大丈夫なわけないだろう。あれだけ頭を抱えて……」
「で、でも、授業が進んでますよ」
「そうか」
こそこそと話している間も、授業は問題なく進んでいた。
これは……本格的についていけなさそうだ。
そんなことを考えていると、隣の席から手が挙がった。
「ウィル先生。この子がついていけないようなので、個別に俺が見てて良いですか?」
「あっ、え~……はい。……よろしくお願い……しま……す」
先生がお兄さんに頭を下げると、お兄さんはぼくに向かい合った。
「メガネ、やっさし~ぃ」
「うるさい。ちゃんと勉強しろ」
赤い髪のお兄さんが、ちゃちゃを入れるが気にした様子もない。
ブツブツと文句を言いながら、再び赤い髪のお兄さんは黒板を見つめる。
「ほら、教科書を見ろ」
「あっ、はい」
お兄さんに注意をされて、あわてて教科書を見る。
その表情はまったく変わらない。
う~、このお兄さんも恐そうだなぁ。
最初から、このクラスが不安になってきた。
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