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「あぁー!メガネが転入生、泣かした~」
赤い髪のお兄さんが、そう叫びながら指を差す。
ぼくが……泣いてる?
そっと顔に手をつけ確認する。
眼から流れた涙が、頬をぬらしていた。
泣いてることに気付くと、眼が熱くなり、涙が止まらなくなる。
「何したっ!メガネー!」
そう言ったお姉さんの姿は、視界がぼやけて見えなかった。
「何もしてないっ!」
「メガネ、頭たたいた~。うさは見たんだからっ!」
「……うっ…………うぅ~……」
涙がこみあげてきて、言葉にならない。
「こんなに泣かしてぇ。何したんだ、メガネ~?」
ちがう。
ちがう。
「軽くたたいただけだぞ!?」
ぼくは嬉しかったんだ。
クラスメイトが。
甘えさせてくれる人が。
子どもでいて、良いことが。
伝えたいけど、体が言うことを聞いてくれない。
口からは泣き声しか出てこない。
「あ……の?……ユウ君…大丈夫で……すか?」
「ほれ。これで顔拭かねぇか、坊主」
泣きながら、おばあちゃんから受け取ったハンカチは、なんだか暖かかった。
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