~3時間目~

10/15
前へ
/54ページ
次へ
「俺、透明になれませんよ?他の人の方が適任じゃないですか?」 実技の出来ない俺に、どうしてこんなことを頼むのか。 疑問を口にすると、先生は少し考えてから答えた。 「そう…なんです……が、他の条件も……ありま…して」 「他の……条件?」 「えぇ……と、筆記……実技試験…体力検査の合格で……す」 つまり幽霊になる条件を満たさないと、付き添いになれないのか。 うちのクラスのメンバーじゃ、誰も付き添いになれないな。 俺が納得したのを見て、先生は話を続けた。 「いつもは……合格者の方にして……もらうので……すが…」 「今回はユウ君だけでしたね。他のクラスの方や……先生は駄目なんですか?」 「あは……私は現世で魂になれま…せん……よ。他のクラスの人も……同じ…です」 笑いながら答える先生を見て、思い出した。 あぁ、ウィル先生は……天界の人なんだった。 こっちの人が現世に行くには、大変な努力が必要だとか聞いたな。 「それで……一番可能性のあるメガネ君に……お願いした……いんですが」 「いや、俺もいつになるか。……アキラさんやランは駄目でも、うさちゃんの方が早くないですか」 いつになるか分からない俺よりも、体重を落とせば良い、うさちゃんの方が早いはずだ。 どうして、そっちに頼まない? 先生は戸惑った後に、ため息とともに、こう言った。 「うぅ……ユウ君の……希望なんで……す」
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

61人が本棚に入れています
本棚に追加