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「俺、透明になれませんよ?他の人の方が適任じゃないですか?」
実技の出来ない俺に、どうしてこんなことを頼むのか。
疑問を口にすると、先生は少し考えてから答えた。
「そう…なんです……が、他の条件も……ありま…して」
「他の……条件?」
「えぇ……と、筆記……実技試験…体力検査の合格で……す」
つまり幽霊になる条件を満たさないと、付き添いになれないのか。
うちのクラスのメンバーじゃ、誰も付き添いになれないな。
俺が納得したのを見て、先生は話を続けた。
「いつもは……合格者の方にして……もらうので……すが…」
「今回はユウ君だけでしたね。他のクラスの方や……先生は駄目なんですか?」
「あは……私は現世で魂になれま…せん……よ。他のクラスの人も……同じ…です」
笑いながら答える先生を見て、思い出した。
あぁ、ウィル先生は……天界の人なんだった。
こっちの人が現世に行くには、大変な努力が必要だとか聞いたな。
「それで……一番可能性のあるメガネ君に……お願いした……いんですが」
「いや、俺もいつになるか。……アキラさんやランは駄目でも、うさちゃんの方が早くないですか」
いつになるか分からない俺よりも、体重を落とせば良い、うさちゃんの方が早いはずだ。
どうして、そっちに頼まない?
先生は戸惑った後に、ため息とともに、こう言った。
「うぅ……ユウ君の……希望なんで……す」
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