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「という、わけなんだが…」
「だからってぇ、なんでオレのところにくるわけ~?」
嫌々ながらも、ランはお茶まで出して部屋に迎えてくれた。
ついさっき先生と話してきたことを、ランに説明し終わり、今に至る。
「だから、お前が行ってやれよ。テストの点を上げてさ」
「そんな簡単に上がんないよ~」
「この間、補習で教えただろ?」
俺が問いかけると、ランは窓際に立ちながら、外を遠い目で見ていた。
「……今回は下がって、元通りさ」
なんとなく可哀相な気がしたので、気にしないふりをして、お茶を飲む。
久しぶりの渋めの緑茶が、俺に転入当時を思い出させる。
「相変わらず、苦いな。お前のお茶は」
「そう~?ばあちゃんに習ったんだけどなぁ」
オレが入った頃、ランはお茶を持って、よく部屋に遊びに来たな。
「で・どうするのさ~?オレやアキラは無理だぞー」
急に現実に引き戻され、ため息をつく。
ランもアキラも無理なら、うさちゃんも駄目だろう。
ばあちゃんは論外だ。
「あぁ、俺が行くか」
「良いじゃん、それでぇ。オレ、応援するよ!」
隣に座ったランに背中をバンッとたたかれる。
あまりの力に俺が顔をしかめていることにも気づかず、ランを思いついたように言った。
「ユウもメガネに懐いてるしぃ、良い判断だよなぁ~」
「懐いてる?俺に??」
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