恋色世界

4/11
68人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
ざわめく校門を抜けて、掲示板を見に行く。 確か、クラス発表が行われているはずだ。 スカートが短い上級生、カッチリと詰襟のボタンを一番上まで留めている新入生。 みんな一様になって、掲示板を覗いている。 身体が平均より大分小さい私は、埋もれた。 「ちょっ、麗?どこ?」 「うー時雨、こ、こっちですぅ~‥‥っ!!」 「え?あ、ちょっ‥‥!!」 遠くに見える時雨に手を伸ばすも、届かない。 前に進もうにも後ろに戻ろうにも、この人じゃ動けない。 息苦しくて、必死に酸素を求める。 ‥‥誰か。 誰か、助けてくださーい!! 心の中で絶叫しながら、腕だけジタバタ動かす。 ヤバい、これじゃあ本当に酸素足りないで死んじゃう気がする‥‥!! と、その時不意に髪が引っ張られた。 振り返ると、誰か分からない人のボタンにリボンが引っ掛かってる。 「あ、すみませ‥‥っ」 「おー今年も同クラじゃん、早く行こうぜっ」 「ちょ、ちょっと待っ‥‥てくだ、さっ‥‥」 モミクチャになって、リボンは完全に髪から落ちてしまった。 引っ掛けた男の人は、そのまま歩き出してしまう。 どうやら周りの喧騒で、私の声に気付かないらしい。 どんどん離れていく人に、若干目に涙がにじむ。 ‥‥やだ、待って、お願い。 「っ、待って‥‥!!」 ,
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!