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ざわめく校門を抜けて、掲示板を見に行く。
確か、クラス発表が行われているはずだ。
スカートが短い上級生、カッチリと詰襟のボタンを一番上まで留めている新入生。
みんな一様になって、掲示板を覗いている。
身体が平均より大分小さい私は、埋もれた。
「ちょっ、麗?どこ?」
「うー時雨、こ、こっちですぅ~‥‥っ!!」
「え?あ、ちょっ‥‥!!」
遠くに見える時雨に手を伸ばすも、届かない。
前に進もうにも後ろに戻ろうにも、この人じゃ動けない。
息苦しくて、必死に酸素を求める。
‥‥誰か。
誰か、助けてくださーい!!
心の中で絶叫しながら、腕だけジタバタ動かす。
ヤバい、これじゃあ本当に酸素足りないで死んじゃう気がする‥‥!!
と、その時不意に髪が引っ張られた。
振り返ると、誰か分からない人のボタンにリボンが引っ掛かってる。
「あ、すみませ‥‥っ」
「おー今年も同クラじゃん、早く行こうぜっ」
「ちょ、ちょっと待っ‥‥てくだ、さっ‥‥」
モミクチャになって、リボンは完全に髪から落ちてしまった。
引っ掛けた男の人は、そのまま歩き出してしまう。
どうやら周りの喧騒で、私の声に気付かないらしい。
どんどん離れていく人に、若干目に涙がにじむ。
‥‥やだ、待って、お願い。
「っ、待って‥‥!!」
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