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「一番!池田 桜です!〇中出身です!よろしくお願いします!」
出席順で始まった自己紹介
トップバッターにも関わらず元気な自己紹介をするさくに、クラスからも温かい拍手が送られる
さくは出席番号1番で俺は24番
一番前と一番後ろ…列を挟んでいるから席も大分遠いな…
俺は頬杖をついて、自分の順番が来るまで
ぼーっと他の人の自己紹介を聞き流していた
担任の岬先生は自己紹介の前に、必ず一人ひとりフルネームで丁寧に呼んでくれる
「はい。じゃあ次はえっと…進藤龍一さん」
…進藤?
懐かしい覚えのある名前に
俺は思わず呼ばれた相手へと目線を向けた
「進藤 龍一です。中学の時はたくさん転校してたので……よろしくお願いします」
少し低い身長と声
顔を隠すように伸ばした長い髪に黒縁眼鏡
「ねえ、ちょっと怖くない?」
「うん、顔見えないよね」
拍手とざわめきが聞こえる中、進藤は何事もなかったかのように座り本を読み始める
進藤の席の、さらに対角線上の先
立っていた時には隠れていたさくと目が合った
さくは俺を見て微笑み、次に自己紹介する人へと視線を移す
ふと我にかえり、懐かしい記憶が蘇る
進藤…相変わらずだな…
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