301人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
~2年前の初夏〜
「おはよー!」
「遅刻ギリギリー!」
「うっせ!」
「なあなあ、昨日のあれ見た!?ヤバかったなあ!」
中学2年生の俺は、いつものように仲良しメンバーと他愛ない話をして盛り上がっていた
キーンコーンカーンコーン…
チャイムとともに女の先生が教室へと入ってくる
「はーい、おはよう!はいはい席に着いた着いた!今日もよろしくー!えっと全員…いるな、堂本と町田と今日は遅刻してないな!よしよし!さーて早速だけど転校生だ!」
「きらりん、ひどっ!え!?転校生!?」
ドッとした笑いとともに、担任からの転校生という言葉にクラス中がざわめきだす
去年から同じ担任である諸星先生、通称”きらりん”先生
流れ星の如く口調行動全てが早い。大雑把だけどなんでも大きく受け止めてくれる、親しみ易い先生だ
「〇〇市から転校してきた進藤 龍一だ。この町にも越してきたばかりだからな、みんな進藤に色々と教えてやることー!」
「「はーい!」」
比較的俺らのクラスは男女仲良しで明るい奴らばかりだった
「ねーねー!進藤くんって前住んでたとこってどんなだったの?〇〇市って言ったら都会だからお店も商業施設たくさんだし学校帰りとか寄りたい放題だよねー」
もちろん転校生が珍しい俺達は進藤の周りに集まり出す
「…そんな都会じゃなかったよ、僕が住んでたのは」
それだけ言い、進藤は読書を始めた
クラスのみんなはその進藤の行動に唖然…そして
「進藤って…なんだか掴みどころがわかんねーな…」
「答えてはくれるけど…もうちょっとコミュニケーション取ってくれてもいいのにねー」
転校生は1週間もすれば飽きられる
まとまりのあるクラスの中で進藤はひとりになった
俺は進藤は一人でいるのが好きなんだと思い、その時はあまり関わらなかった
最初のコメントを投稿しよう!