恐怖の影(シェイド)

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夜の闇をつらぬいて   風がうなりをあげる。 長身のシェイドは顔をあげ、そのにおいを嗅いだ… 深紅の髪とえび茶の目をのぞけば、姿形は人間と変わらない。 伝令はまちがいではない──やつらはこのけもの道を通るはずだ。       彼は、冷ややかに命じた。 「散れ。藪(やぶ)にかくれて見はるんだ。 アリの子一匹通すな。ぬかると……命はない」 まわりで十数人のアーガルたちが、ゆっくりと動きだした。 アーガルは、人間に似ているが、その足は弓なりに曲がっている。 腕は野獣のように太く、強い。 耳の上には角がのびている。 アーガルたちは藪の中に身をひそめ、森はまた静寂につつまれた………
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