12人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
夜の闇をつらぬいて
風がうなりをあげる。
長身のシェイドは顔をあげ、そのにおいを嗅いだ…
深紅の髪とえび茶の目をのぞけば、姿形は人間と変わらない。
伝令はまちがいではない──やつらはこのけもの道を通るはずだ。
彼は、冷ややかに命じた。
「散れ。藪(やぶ)にかくれて見はるんだ。
アリの子一匹通すな。ぬかると……命はない」
まわりで十数人のアーガルたちが、ゆっくりと動きだした。
アーガルは、人間に似ているが、その足は弓なりに曲がっている。
腕は野獣のように太く、強い。
耳の上には角がのびている。
アーガルたちは藪の中に身をひそめ、森はまた静寂につつまれた………
最初のコメントを投稿しよう!