恐怖の影(シェイド)

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 仲間の死を目のあたりにした女エルフの唇から悲鳴がもれた。 彼女は仲間の亡骸を見て、怪物たちに呪いの言葉を吐いた。 そして、はねるように森へ飛びこんでいった。 アーガルたちが森を探しまわるいっぽう、 シェイドは、灰色に黒い点のある山に駆けのぼった。 そこから森じゅうを見わたすことができた。 彼は手をあげ、さけんだ。 「ボオエットゥク・イスタルリ!」 森の一角、 四百メートルほどの幅に、ぱっと火の手があがった。 彼は残忍な表情を浮かべ、一か所、また一か所と火を放っていった。 まるで、遊んでいるかのように……      やがて周囲二キロ半が、 大きな炎の輪にかこまれた。 彼は満足げに、 いきおいがおとろえぬよう炎の輪を見まもった。 炎の帯はじわじわと太くなり、 アーガルの捜索範囲をせばめていった。 とつじょ シェイドの耳に、さけび声と不快な悲鳴が聞こえた。 走っていくと、 三人の怪物が息の根をとめられ、 折りかさなってたおれているのが見える。 残ったアーガルたちのあいだから エルフが飛び出してきた。
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