13人が本棚に入れています
本棚に追加
その子は、慌ても驚きもせずに、二つの影を注視している。
影が窓際へと来たとき、やっと姿を見てとることができた。
一つは、白い翼を生やした者。
もう一つは、黒い翼を生やした者。
色と言い、雰囲気と言い、二人はまるで対照的である。
「君かい?毎晩、僕を呼んでいたのは」
白い翼の者が問う。
「お前か?毎晩、うるさく俺を呼んでいたのは」
黒い翼の者が問う。
「呼んで、いた……?」
その子は、理解できずに繰り返す。
「そうだよ。ずっとずっと、聞こえてた。誰か、誰かって。すごく寂しそうな声が」
「俺にも聞こえていた。ずっと聞いていると、耳障りになってきた」
「「だから、こうしてやって来た」」
二人の声が重なる。
それは、とても綺麗な響きを生み出していた。
最初のコメントを投稿しよう!