始まりの夜

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「貴方たちは……誰?」   「僕は、天使」   白い翼の者が言う。   「俺は、悪魔」   黒い翼の者が言う。   「何のために、やって来たの?」   「君を寂しさから守るために」   白い翼の天使が答える。   「お前のうるさい声を黙らせるために」   黒い翼の悪魔が答える。   「どうして二人もやって来たの?」   その子は、まだ尋ねる。   「さぁ?それは僕にも分からない」   「二人は、何をしてくれるの?」   「お前のために話をしてやろう」   悪魔が窓枠へと座る。   「小さな、小さなお話をね」   天使は窓枠を越え、その子のもとへ近づく。   「いつでも話を聞かせてくれる?」   「いや、いつでもってわけにはいかない」   天使は申し訳なさそうに声の調子を下げる。   「じゃぁ、いつ聞かせてくれるの?」   「お前と俺たちが一緒にいられるのは夜の間だけだ」
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