月に恋して

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窓から夜空を見上げれば、彼はいつも一人。 光を反射させて輝いている。   「淋しく、ないのかなぁ?」   「淋しくないわけじゃないよ。君がいつも一人で淋しがっているように、彼も淋しいはずだよ」   「……どうすれば、一人じゃなくなるの?」   少女は、隣に立つ青年を見上げた。   「君が傍にいてあげればいいんだよ」   青年は微笑んで言う。   「そうだね。でも……どうやって?」   「それはね、こうして……」   青年は少女の手を引き、窓枠へと導く。   「僕と一緒に、彼のところまで飛んで行こう」   少女は導かれるまま、夜空へ身を踊らせた。   「ふふ。これでやっと百人目」   青年の声は、少女に聞こえることもなく、彼に届くこともなかった。   「さぁ、次の子は?」   淋しさにつけこむ青年は、夜闇の中へ姿を消した。   後には、月の光に包まれた少女が横たわるのみである。
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