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「今日は楽しかった。ホントにありがと。」
『間もなく一番ホームに列車が参ります。白線の内側までお下がり下さい。』
彼女の言葉に重なる様にガイダンスが流れた。
「また、連絡するね。」
俺は思わず、彼女を抱きしめた。
「えっ?何?どうしたの?」
「最低な事したのは分かってるんだけど、やっぱまだ好きだよ。
ここから、この場所からまた二人でスタート出来ないかな?」
抱きしめられたままの彼女は暫く黙り込んでいた。
その間に最終列車が音を立てて走り抜けた。
「ホント、ずるい。まだ私が好きだった時のま~君のまんまなんだもん。
私、泣くの我慢してたんだよ。抱きしめられたら、我慢出来なくなるよ。」
「いいよ。美加の全て受け止めるから。」
そう言うと、張り詰めていた糸が切れる様に彼女は俺の胸で泣いていた。
「もう大丈夫。ありがと。」
「そっか。」
「ね~、電車ないから朝まで付き合ってよね!」
「そのつもり。」
「そうだ。ここから、スタートならまた、もう一度私を惚れさせてみて。」
彼女のその笑顔とその言葉に
「分かった」
俺達二人は手を繋ぎ、歩き出した。
今度はこの手を離さないと強く握りしめて・・・・・
「強く握りすぎ!痛いよ。」
「ごめん」
~~~~END~~~~
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