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AM6:10。
夜勤を終えた私は、タイムカードを押すと会社の事務所を出た。
辺りはまだ暗かったが、東の空がうっすらと明るくなり始めていて、遥か彼方に連なる山々の輪郭を浮かび上がらせている。
一月の朝の空気は凍て付くような冷たさ。
呼吸する度、鼻の穴から侵入してきた冷気が内臓に染み混んでいくような気がして、私は思わず身震した。
むき出しの耳もまるで洗濯バサミで挟まれたみたいに痛い。
寒……。早く帰ろう。帰ってあっついシャワー浴びて、それから……
ダウンジャケットのフードをかぶり、駐車場に向う。
私の車は駐車場の端にあり、早朝という事もあってか辺りには他の車も人の姿も全く無い。
「ううっ寒い寒い。」
手のひらをハーハーやりながら小走りで車に駆け寄る。
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