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せめて最後の時は美しい記憶の中で迎えたい。
懐から瓶を取り出す。
睡眠薬。
それを口いっぱいに頬張り、ごりごり噛み砕いてウィスキーで流し込む。
何度かそれを繰り返し、ウィスキーが無くなりかけた頃、靄がかかったように頭の中がハッキリしなくなって来た。
そろそろだな。
私はウィスキーと睡眠薬を傍らに放り出すと、木にすがりつくようにして立ち上がり、ロープに手を伸ばした。
酔いと睡眠薬のせいで焦点が合わない。
宙にぶら下がるロープが三本にも四本にも見える。
あれぇ、えへへへぇ。
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