飼い犬

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ざわざわと周りがうるさい。 そしてーーーーーー 首輪に向けられてる視線。 特に女子生徒。 杏を見て頬を染めてる人。 遠巻きから見とれてる人。 首輪を見て羨ましがってる人。 正直何処がいいんだか全然分かんない。 ーーーーーーーまぁ、顔は良いけど。 悠は、チラリと杏を見つめた。 でも………ね。 ハァとため息をついた。 「……何だよ」 「えっ?」 気がつくと悠の目の前に、杏の顔があった。 「人の顔じろじろ見やがって」 「別に」 悠は苦笑いしながら、クルリと向きを変えた。 「一年の教室あっちだから」 走り出そうとした瞬間、悠の手がグッと掴まれた。 「飼い犬に席なんてあると思うか?」 「へ?」 杏は、クスッと笑った。 「お前の教室は生徒会長室だ」
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