飼い犬

74/80
前へ
/84ページ
次へ
しんと静まり返った部屋。 「あのさ」 最初に沈黙を破ったのは、悠だった。 「私、何処に座ればいいの?」 周りを見渡しても机も椅子も何も無い。 「ここ」 そう言って杏は、自分の膝の上を指差した。 「ーーーーーえ?」 「ご主人様の命令は絶対だ」 そう言ってクスリと笑った。 「無理!」 悠は、カァッと顔を赤くしながら後ずさった。 「ーーーーー来い」 卑怯だ。 そんな綺麗な瞳で見られたら言えない。 嫌なのに、体が言うことをきかない。 悠は、ゆっくりと杏に近づいた。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

749人が本棚に入れています
本棚に追加