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ある日の昼休み。
俺は学校の屋上で食後の一服をしていた。
今日も空が無駄に青い。
さて、と。
飯も食ったしアイツ呼ぶかな。
カチカチと携帯をいじると、一件のメールを送信する。
少しすると屋上のドアが勢いよく開く音がして、ドスドスと足音を立てて一人の女子生徒が近づいて来た。
ソイツは俺の前で立ち止まる。
「遅いよ?」
わざと笑顔で聞く。
息を整えているのか、応答がない。
俺はタバコを押し消しながらもう一度ゆっくりと聞き直した。
「お そ い よ?」
あくまでも笑顔で。
でも
逆らえない様に。
「3分とか無理ィィィィィィィ!!」
…五月蝿い。
ソイツは街全体に響いたんじゃないかと思うくらいの大声で叫んだ。
ゼェゼェと全身で息をして、その場にへたりこんだソイツをみて、なんだかまた意地悪をしたくなった。
「走ってきた事は偉いね。教室にいたの?」
笑顔で聞くと、「うん」と、小さく返事をした。
意地悪をする前だから、少し優しく頭でも撫でてみる。
…頭ちっさいな。
女の子独特の柔らかい髪の感触が手の平から伝わる。
「でも俺、待つの嫌いなの知ってるよね?」
この台詞も意地悪の為の言葉。
待った記憶など一度もない。
言葉を投げかけると、顔が俺の方を向いて何かをいいかけた。
「でも?」
聞き返しながら俺はソイツの顔に触れる。
「3分は…無理ッ…」
無理とか言うから、もっと意地悪したくなる。
「ふ~ん…。それで?」
顔に触れていた指を、徐々に下へさげて行く。
「だから…ね?3分は無理…」
強気だった顔が段々と縋る目に変わってきた。
これが快感。
…後もう一押しかな。
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