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あいつ、
朝倉優希は、くわえ煙草がよく似合う。
ヘビー級のスモーカーで、
僕が見るたび煙草を吸っていた。
優希は昔から、ストレートのショートカットで、
数年ぶりに再会した今もあの頃のように、カッコ良くショートカットで決めていた。
ふてくされた印象は、昔も今も変わらない。
優希は中学の頃から自由人で、
思ったことはすぐ口にする。
ふてくされた態度が気に入らない奴らは多く、優希の周りには味方よりも敵の方が多かった。
悪そうな連中に囲まれても何も変わらず、
1人でいつも闘ってた。
だから僕は、1人で傷の手当てをしてる優希を、何度も見てきた。
特に『好き』とかいう感情を優希に抱いていたわけじゃないんだ。
なんかいいな…って、
強くていいな…って、
僕は勝手に憧れていたんだ。
でも優希は決して『強い』んじゃなく、
いつも『独り』だったんだ。
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