蒼い胡蝶

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中学時代クラスに1人、イジメを受けていた女子がいた。 その子の顔はよく覚えていないが、確か『アンナ』と呼ばれていた。 アンナは小太りな体格で、眼鏡の奥から覗くその瞳は暗く、休み時間はいつも机に突っ伏していた。 友達は1人もいなかっただろう。 だが時々休み時間になると、クラスの目立った女子がアンナの周りに寄ってきて、アンナをからかっていた。 僕もみんなも、それが明らかに『イジメ』とわかっていながら、遠巻きに見てた。 アンナは不機嫌そうに、連中の嫌がらせに耐えていた。 時には泣いて嫌がることもあった。 アンナが泣いているのに、誰1人助けようともせず、笑って見てる奴もいた。 僕もその中の一人だった…。
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