卒業式

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「信二!信二!」 来たな。小娘。 ポニーテールが特徴的なこの女子は、飛田の双子の妹。 ニヤニヤ笑いはずっとだが、物静かな兄とは違い、飛田の妹は兎に角、煩い。 「あんだよ」 適当にあしらうと、飛田妹(名前は忘れた)はふてくされたように頬を膨らませた。 こいつとも良く悪さをしたな。 ふと、そんな事を思い出した。 俺達に混ざって、よく喧嘩をしていたような気がする。 「あ。おい、柏木。HRの後、職員室に来いよ」 「んー。あいよ」 「なになに?秘密の密会ぃ?いやぁん。信二、恥ずかしいー」 「殺す」 そいや、担任の泰成(たいせい)にも世話になったなぁ……。 よく悪さをした後に呼び出しくらったっけ。三時間くらい俺達といるよな、いつも。 「信二!クラス写真とるってよ!早く行って、前並ぼうぜ!」 げ。野宮(のみや)じゃん。 背の低い野宮は必死にこちらへ走っている。 髪は短すぎるせいでツンツン立ち、制服は今も尚ぶかぶかだった。 こいつとも長い付き合いになる。クラスは三年間一緒。部活まで一緒。直接悪さはしてないものの、計画をたてるのはいつも野宮の仕事だった。 あぁ……思い出が、多すぎる。
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