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遥は両親と離れて教室へ向かうと、既に半分ほどの生徒が席について新しい同級生達と楽しげに話をしていた
男女別の出席番号で黒板書かれた自分の席を見る
黒板に書かれた席と、実際の席を見比べて自分の席を探す
「あ、あそこだ・・・・・・って、あんまり行きたくないな・・・・」
自分の席を見ると、そこには数人の女子生徒がおり、そのうちの一人は遥の席に座っている
どうやら遥の隣の席の女子生徒と話すために集まっているらしい
小学校の頃、容姿のおかげで家庭部の女子生徒から着せ替え人形にされていた経験のある身としては、あまりお近づきになりたくないのである
が、立ったままというのもあまり嬉しくないので、小さくため息をつくと、遥は自分の席へ向かった
「…あのさ、そこ、僕の席なんだ。だから、どいてくれないかな?」
「えっ、あ、ごめん…ね…………っ」
遥の席に座っていた女子生徒は、声のした方を振り返り、顔を赤くして固まった
「・・・・あの?」
「あっ、え、ご、ごめんなさいっ」
もう一度遥が呼ぶと、女子生徒はハッと我に返り、慌てて席を退いた
「ありがと」
ニコっと笑ってお礼を言うと、遥は自席に座った
「(・・・普通に退いてくれてよかった・・・・)」
落ち着いているが、内心はとてもほっとしていた
小学生の頃はソレこそ話しかけると絶対に離してくれなかったのである
しばらくすると、担任がクラスに入ってきた
「このクラスを担当する、谷島だ、よろしくな。もう少ししたら体育館に移動するから、それまでに制服のおかしいところが無いか見て置けよ」
その言葉に、遥は制服を見る。すると、隣から声がかかった
「あの、ネクタイ曲がってるよ。・・・よかったら、直そうか?」
「うん、ありがとう。梨花ちゃん」
遥が女子生徒――神代 梨花という名前だった――に、お礼を言うと、梨花は目を丸くした
「なまえ・・・・」
「あ、苗字で呼んだほうが良かったよね。初めて顔あわせたのにファーストネームだとなれなれしいよね・・・気付かないでごめん」
遥がすまなそうにそういうと、梨花はふ
るふると首を横に振った
「うぅん、名前でよんで。私も遥くんって呼んでいい?」
「いいよ、よろしくね、梨花ちゃん」
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