紙ヒコーキ

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 誰も理解してくれないようなことでもいい。俺が俺として生きれることならなんでもいい。 俺にもそんなものがあれば、この空洞はうまるんだろう?  誰にも言えない空洞。言っても誰にも理解できないから。俺ですらこの空洞が何かわかってないっていうのに、他人が理解できるわけがない。でも、誰かと分かち合えたら、きっと少しは楽になるんだろう。  慣れない物思いにふけって空を見上げる。なんだかさっきよりも曇ってみえた。雲自体は増えてないのに。  このまま空に溶けてしまえばいいのに。痛みもなく、苦しみもなく、眠るように自然に。そうすればもう、なにも考えなくていい。
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