ボトル

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 ある日の夕方。孤独な日常抜け出して、僕は海に来ていた。  家の近くの海。お世辞にも綺麗とは言えないけど、それでも日が落ちるこのときだけは綺麗だ。  水平線の向こうに、周りを赤く染めながら太陽が沈む。まさに『海に沈む夕日』という図を表現したようだ。もっというなら、どこかの絵からそのまま抜き出したよう。他に何も自慢できることのないこの街だけど、この夕日だけは自慢できると思う。  寂しい時や悲しい時、切ない時や虚しい時、僕はここにくる。  そして日が沈むまでここにいる。ここにいるときだけは、孤独を感じないですんだから。
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