始まった喜劇と終わった悲劇

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  「にゃん」  あ、でも近くに行っても逃げない。人懐こいなあ。  そう思って猫に手を伸ばすと。 「シャー!」 「痛たたっ!」  引っ掻かれた……。血は、出なかったけど。痛い……。 「にゃあ!」  それでも猫は逃げない。それどころか俺をじっと見上げてる。  ……変わった猫だな。つか、いてえ。 「じゃあな。ビビらせて悪かった」  そう言って猫の側を離れようと歩き出した瞬間。 「シャー!」 「うええ?」  猫めっちゃ追いかけて来たー! 怖えええええ!  俺はすぐ自転車に跨がり、全力でこぎ出した。 「フシャー!」 「ぎゃらああああ!」  猫速ええええ! 自転車のスピードについて来てるー!  一心不乱に自転車をこいで街をジグザグに走る。  幸いな事に時間が微妙なおかげで人はあまりいなかったけど。  つ、疲れる……。 「はぁ……。はぁ……。どこ? ここ」    
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