序章

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扉を開けると共に花とお菓子の甘い香りが僕の体へと流れた。 そして、一歩部屋へと踏み込んだ。 そこはメルヘンチックな物にうめつくされていた。 「アリス、アリス。あの人連れてきた」 赤いスカートの小さな女の子は、そー叫びながら 2階への階段をかけのぼっていく。 とりあえず僕は1階の部屋をもー1度見渡した。 「ミャーオ」 ここの猫だろうか。 青い瞳をした真っ黒な猫だ。 僕はかがみこんで、そいつののどをさすった。 猫はのどをゴロゴロ鳴らした。 僕が猫とじゃれていると急に部屋の中の花の香りが強くなったように感じた。 コツ、コツと足音が近付いてくる。 「あら、アビスが心を許してるなんてホントにあなた...」 顔をあげると階段の中間地点から僕をみさげる女の子がいた。 この子がアリスなのか。その子は美しい黒髪で、誰もが認めるほどの美しさだった。 どんな男もあの青い瞳で見つめられたらいちころだろう。 歳は僕と同じくらいに見える。 「アリス、言った通りでしょ。」 その子の後ろからさっきの赤いスカートの女の子が顔を覗かせた。 アリスと思われる女の子は赤いスカートの女の子の頭を優しくなでると、降りかけだった階段を下り始めた。 その間、僕はアリスという子から目が離せなかった。
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