序章

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まるで金縛りにあったようだ。 だんだんとアリスが近付いてくる。 猫を抱きあげると僕にむかって口を開いた。 「あなたホントにジキルなの??」 いきなりなんなんだ!?急な質問でとまどいつつも答えを返す。 「俺はジキルじゃないよ。人違いじゃないですか??」 確かに僕はジキルでは無い。 その時気付いた。 僕の名前はなんなんだ? 今までのことを思い出せなくなっていた。 女の子を追い掛けてるところからしか記憶がない。 「ねぇお兄さん。どーかしたの?ジキルじゃないの??」 赤いスカートの女の子が僕のズボンをつかんでいた。 「どーもしないよ。多分ジキルじゃないと思う」 なるべく笑みを浮かべて頭を撫でた。 「思うってどーいうことですか??」 アリスは愚問の表情を浮かべる。 「今までのことが思い出せなくて...この子を追い掛けてる所からしかわからないんです。」 2人は顔を見合わせると、アリスが笑顔を見せた。 「でも、きっとあなたはジキルよ。名前がわからないなら尚更、名前が必要でしょ。」 この笑顔を断れるわけもなく、了承せざる負えなかった。 「なぜジキルという者を探しているんだ??」 僕は1番の謎を訪ねた。 アリスは手招きをして、1つの部屋へと僕を招いた。 そこには本が端から端まで所狭しに並んでいた。 「以外に広いんだな」そこには机と椅子4つのつがいが4組ほどならんでいた。 しばらく見渡しているとアリスが一冊の本を差し出した。 「これを読めばなぜアタシ達がジキルを探してるかわかるわ。古い本のわりには綺麗でしょ。そこにはこの国の今までの全てのことが書かれているの。」 「著者名が無いが君が書いてるのか??」 「いいえ。アタシがそんな歳に見えます?」 確かにこの本は少なくとも100年近くの歴史が記されている。 アリスは言葉を続けた。 「その本は不思議と更新されていくの」 「更新??」 「えぇ。私のおじいさんの話によると賢者の力が宿ってるらしいの」 「賢者...」 やはりこの世界は変わってる。 しかし、この本にはなぜか見覚えがある。
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