まずは挨拶致します

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    「…逃げよう。」   式が終わったら直ぐに 何処かに逃げよう…。   頭がクラクラする…。   私の異変に気がついたのか、 岾兎は私の肩を ちょんっと突いた。   「もしかして例の…」 そして手をパンッと叩き、 人がぶつかるジェスチャーを する岾兎。   よく分からないが 一応伝わった。   私は「うん…」と、頷く。   ようやく頭の回転が 戻ってきたみたいだ。 しかし次の校長の台詞で また思考回路が止まった。   『火黎先生には二年生の現国を 担当していただきます。』   「…は!?」   結構大声で叫んだが、 周りの歓声(女子のみ)に よって消された。   「最悪…」   と…とりあえず逃げよう。   「やっ…岾兎…先生に後で 『香杞は具合悪くて 保健室に行った。』って 言っといて…。」   「…分かった。」   岾兎の返事を聞くと、 校長の   『では三年生から 教室に戻って結構です。』   その台詞と同時に 私は三年生に混ざり、 全力疾走で体育館を あとにした。    
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