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剣一はげんなりしながら愛想笑いを浮かべるアクアの方を向いた。
「……あんた、死神の中でも落ちこぼれだろ?」
「はうっ!? 失礼ですね! これでもわたしはアカデミー首席合格者ですよ! 心外です!」
プッと頬を膨らませながら怒るアクアの姿がさらに剣一の疲労感を増幅させた。
死神に学校なんてあるのか? なんて疑問も抱いたが、剣一はあえて触れなかった。というか、もうそんなことを聞く体力さえもう無くなっていた。
「わかった、わかった。アクアさんはすごいんですねぇ~。そんな人に案内してもらえてオレ嬉しすぎて涙でちゃうよ」
「むぅ、なんかバカにされてる気がします。これでもわたし、人間年齢にしたら十九才なんです! つまり高校三年生のケンイチさんよりもお姉さんなんですからね!」
鎌で地面を掘りながらキイキイ怒鳴るアクアを剣一は軽くスルーして、朱色の建物の前にある大きな門の前に移動した。
門の上には三ツ首の犬の石像があり、訪問者を見張るようにこちらをジッと見つめている。
「……あの石像気味悪いな」
「はわわっ! 無視しないで下さいよケンイチさん! それにこの門はわたし達死神の鎌でしか開門しちゃいけないんです。もし死神じゃない人が開けたら……」
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