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そこでアクアの言葉がピタリと止まった。
なんと剣一はすでに門を開けてしまっていたのだ。
剣一は滝のように額から汗をたらしながら、鎌をギュッと握りながらこれまた滝のように額から汗をたらすアクアの方を向いた。
「……アクアさん、このあとなにが起きるの?」
「ふえ……? そ、それはですね……」
アクアが答える前に剣一は答えを理解した。
ズンという音と共に、門の上にいた三ツ首の犬の石像が剣一達の目の前に降って来たのだ。
しかも三ツ首全てが鋭利な牙をズラリと並べ、その隙間からダラダラとよだれをたらしている。
「これは地獄の番犬、ケロベロス。わたし達、ワンちゃんのご飯になっちゃうかもしれません。ちなみにこいつに会って生存した死神は、今のところゼロ、です。死なない死神の死因の大半がこいつだと学校で教わりましたぁ。うう、助けて下さいお嬢様ぁ……」
アクアは瞳いっぱいに涙をためながらなんとか言葉にした。
剣一はギッと歯を食いしばって三ツ首の猛獣の前に立った。
「ケ、ケンイチさん!? 無茶ですってば! 生身の人間だったあなたでは到底ケロベロスには敵いませんよ!」
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