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「我が主と同質の魂を持つものよ、我らはお主の帰還を歓迎する」
「え、あっ、ど、どうも……」
剣一はポリポリと頭を書きながらアクアの方を向いた。
「あのー……、アクアさん? なんか助かったっぽいんだけど……」
戸惑いながら剣一はアクアに問いかけた。しかしアクアはなにも答えなかった。それもそのはず、アクアは剣一以上に戸惑っていたのだ。その証拠に酸欠になった金魚のように口をパクパクさせている。
「アクアさん?」
二度目の呼びかけでやっと状況を理解したのか、アクアは剣一の手をギュッと掴んで走り出した。
「ひぃいいい! もう意味わかりません! とにかく本殿まで走ってぇ!」
「ええっ!? も、もう大丈夫だと思うけど!」
「そんなの知りません! お姉さんの言うこと聞きなさい!」
剣一はアクアの妙な迫力におされて、無言のまま朱色の建物に足を踏み入れた。
「ほへ~、スゲー」
中の造りも外見にひけを取らない立派なものだった。
床は水晶のように七色に光り、神殿を支える朱色の柱と一緒に素晴らしい色彩を描いている。
ここが地獄なら悪くねぇなーと思いつつ、剣一は早足で進むアクアを一生懸命追いかけた。
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