第二章 魔界のプリンセス

7/39
前へ
/64ページ
次へ
「我が主と同質の魂を持つものよ、我らはお主の帰還を歓迎する」 「え、あっ、ど、どうも……」  剣一はポリポリと頭を書きながらアクアの方を向いた。 「あのー……、アクアさん? なんか助かったっぽいんだけど……」  戸惑いながら剣一はアクアに問いかけた。しかしアクアはなにも答えなかった。それもそのはず、アクアは剣一以上に戸惑っていたのだ。その証拠に酸欠になった金魚のように口をパクパクさせている。 「アクアさん?」  二度目の呼びかけでやっと状況を理解したのか、アクアは剣一の手をギュッと掴んで走り出した。 「ひぃいいい! もう意味わかりません! とにかく本殿まで走ってぇ!」 「ええっ!? も、もう大丈夫だと思うけど!」 「そんなの知りません! お姉さんの言うこと聞きなさい!」  剣一はアクアの妙な迫力におされて、無言のまま朱色の建物に足を踏み入れた。 「ほへ~、スゲー」  中の造りも外見にひけを取らない立派なものだった。  床は水晶のように七色に光り、神殿を支える朱色の柱と一緒に素晴らしい色彩を描いている。  ここが地獄なら悪くねぇなーと思いつつ、剣一は早足で進むアクアを一生懸命追いかけた。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

862人が本棚に入れています
本棚に追加