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「アクアー!」
「アクアちゃーん」
しばらく進むと、奥からアクアと同じ黒い鎌を持った人達がたくさん駆けつけてきた。
「はうっ! みんなぁ!」
アクアはブワッと瞳から涙をあふれさせながらその集団に突っ込んでいった。
「心配して来てくれたんですね!」
「当たり前よ! だってあのケロベロスが動き出したって情報が入ったのよ? しかもその案内人がアクアだって言うじゃない! もういても立ってもいられなくって!」
そんな声に周りの死神達もうんうんと頷く。
「みんなぁ……。うわぁん! アクア、嬉しいですぅ!」
友達と抱き合うアクアを見て、剣一は少し胸が痛んだ。
下に置いてきたオレの友達は元気だろうか? 剣道部のみんな、それに藍……。
葬式のとき、みんなずっと泣いてたからなぁ。最後ぐらい笑ってくれよ。死んだ方は不安なんだからな。
剣一は友達とじゃれ合うアクアを見れなくなって、集団を取り残して神殿の奥に進んだ。
「ケンイチくん……だったかな? なにかお悩みみたいだね」
どれぐらい歩いただろうか。不意に優しい声が剣一の鼓膜を揺らした。
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