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「藍か。なあ、おまえはあれなんだと思う?」
そんな彼女を発見した剣一は細身の剣をあごでしゃくった。
「う~ん、あれじゃないかな? 西洋で使われてる剣。前テレビで見たのよ。たしか突き主体で闘う剣よ」
「ふうん。オレ刀にしか興味ねえからなぁ。にしても、剣だとしたらこれ柄がないよな」
たしかに剣一の言うとおり地面に突き刺さった剣に柄はなく、砕かれたようになっていた。
「ま、気にすることもねえよな。行こうぜ藍」
だが剣一は深く考えなかった。と言うか、考えてもしょうがないと思ったのだ。
しかし、のちに剣一は酷く後悔する。もう少し、もう少しでも長く考えていれば、と。
しかしそんな運命が待ちかまえているなんてつゆも知らない剣一は人だかりから離れて再び登校を再開した。
「うん! あ、そうだ剣一? あんたちゃんと宿題やったんでしょうねぇ~?」
「うっ! 実はまだ……」
「もうだらしないんだから剣一は!」
「わりぃわりぃ、剣術修行が忙しくてな」
他愛のない会話をしながら校門前に差し掛かった二人。その瞬間剣道で鍛えられた勘が同時に二人に注意を促した。
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