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じぃちゃんから貰った原付バイクがうちにあり、いつも私は母が運転する背中にくっついて乗せてもらっていました。
すごく楽しかったのを今でも覚えています。
ある日、幼なじみのヒロコちゃんがバイクに乗りたいと言い出してきました。
母はすんなり承諾しました。
「ヒロちゃん、ちゃんとおばちゃんの背中掴んでなよ!」
私は2人の楽しそうにしている姿を見て、少し嫉妬しました。
母は朝から晩まで働いていたので、なかなか母と遊ぶ時間がありません。
ヒロコちゃんに邪魔をされた気分でした。
母とヒロコちゃんの姿が見えなくなるまで私は2人を遠くから見ていました。
その時、遠くの方で物音がしヒロちゃんの泣き声が聞こえてきました。
私は小3ながら何かあったのだと思い、急いで母とヒロコちゃんのいる方へ走って行きました。
母に何があったのか聞いたところ、ヒロコちゃんがあまりにもはしゃぎすぎて、掴んでいた手を離しバイクから落ちてしまったというのです。
ヒロコちゃんの頭から少し血が出ていました。
私は母の顔を見ました。
いつも気丈て明るい母の顔は青ざめていました。
「ナナコ!ナナコ!どうしよう!どうしよう!人様の子供をケガさせてしまった!」
母は私にすがって泣いていました。
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