2人姉妹

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「あ、裕太。そんなこと言っていいのかなぁ。確かに未希ちゃんのお姉ちゃんは優しそうな感じの人だけど、裕太は明美ちゃんのこと…」 今度は聡史が面白おかしくそう言うと、裕太は慌てて聡史に飛び掛った。 「あ、バカ!何でそんなこと言うんだよ!男と男の秘密だって話じゃないか!」明美も含めて4人でいたときから聡史と裕太はよくこうやって楽しそうに喧嘩をしていて、未希も明美もそんな2人を楽しそうに眺めていた。でも、今日の未希はちょっと様子が違った。 「お姉ちゃんか…」    未希の姉は、確かに美人で性格も良かった。未希にも優しくて、未希は姉のことが大好きだった。姉は頭も良くてピアノも上手なので、知らないうちに未希は姉の後姿を追っていた。姉がピアノを楽しそうに習っているので未希も習い始めた。姉が今の高校へ通っているから、自分も受験してみようと思ってみた。そして姉が吹奏楽部に入っているので、未希も今、吹奏楽部に入ろうと考えているところであった。ボケッと姉のことを考えているうちに、聡史が裕太をのして勝負がついていた。たいていの場合、小柄な裕太がのされる場合が多い。 「未希ちゃんは部活何入るの?」 聡史がすまして尋ねた。 「未希はピアノが上手だから、ピアノ部だよ。な!」 裕太が真剣にとんちんかんな答えを言った。でも、未希にはそんな裕太が面白かった。 「いいかい、裕太くん。ピアノ部なんて部はないんだよ。あるとしたら音楽部とか吹奏楽部とかじゃないのかな」 聡史が博士のような口調で裕太をからかうと、聡史と未希は2人で大笑いをした。 「ちぇ。でもさ、だったら未希は部活何に入るのさ」 裕太が改めて尋ねた。   「私は…。う~ん、まだ考えてないや」 未希はちょっとだけ無理をして2人に笑ってみせた。
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