その理由…

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「ねえ、裕太。どうして僕たちって、モテないんだろうね」 ある日の昼休み、教室の裕太の席にふと聡史がやってきて尋ねた。 「どうしたんだよ、急に。好きな子でもできたのか?」 裕太はびっくりしたように尋ねた。    聡史と裕太は小学生の頃からの親友で、中学、高校と同じ学校に進んできた。裕太の恋愛話はごく稀に話題に上がるが、聡史に関してはそれまで皆無であったので、裕太にしてみれば驚き物だったのである。   「ううん、そうじゃないんだけどね。ほら、僕たちってさ、女の子の友達いないじゃない。ちょっと寂しいなって思って」 聡史は答えた。2人に数少ない女友達がいなかったというわけではないが、それは中学までの話で、高校生になってからは同じ学校で女の子と話をする事はほとんどなかったのである。2人は同時に周りを見回してみると、男女で話をしているクラスメートは少なくはなかった。   「確かに。でも聡史は演劇部入ったんだろう。演劇部は女の子が多そうじゃん。話くらいしないのかよ」 「う~ん、だってまだ入部して半年くらいしか経ってないしさ。それに女の子が多いと逆に話しづらいんだよね。ほら、女の子ってみんな固まっちゃうじゃない」 聡史は真剣に首をかしげた。聡史の入った演劇部は総勢23名。そのうち女子は19名で、1年生の男子は聡史1人だけなのである。そのため聡史には、部内で女友達どころか男友達もいなかったのである。
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