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「やっぱりさ、男はスポーツする方がモテるんだよ。聡史は中学の頃からずっと文化系ばっかりだからダメなんだよ」
裕太はちょっと知ったかぶりな口調でそう言うと、ちょっと偉そうに足を組んだ。
「でもさ、裕太だってあんまり女の子と話をするの見たことないよ」
聡史の突っ込みは正にその通りであった。裕太は中学の頃からずっと野球部に入っており、そこそこ活躍はしてきたものの、浮いた話一つ出てきたことはなかったのである。ただ裕太には、心に思っている子が1人いた。それは小学5年生の時に同じクラスだった明美という女の子である。しかし明美は6年生の時に遠くに転校してしまい、今では聡史、それから高校は違うがもう1人の女友達である未希と一緒に、年に1度くらいしか会うことができないのである。
「ふん、おれには心に思っている子がいるからな。別に女友達なんて…」
裕太はちょっと自信なげにそう言うと、聡史がニヤニヤしながら追い討ちをかけた。
「でもさ、付き合っているわけじゃないんだろ。それに明美ちゃんって美人だからさ。同じ高校で彼氏くらい出来てるかもしれないよ」
それは裕太にとっては痛い一撃であった。
「聡史さ、それキツイって」
裕太がそう言うと、2人は一瞬大笑いして、それから同時に落ち込んだ。
聡史は裕太の隣の席に腰をかけた。
「僕たちってさ、ダサいのかな…」
「たぶんな、きっとダサいんだよ…」
それから2人は同時に溜息をついた。
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