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それから2人は外へ出た。のんびり畑で農作業している明美の祖母に挨拶をすると、2人は神社へ向った。神社は長い石階段を登ったところにあるが、涼しい風も吹いて見渡しもよいので明美のお気に入りの場所だった。2人は汗だくになりながら長い石階段を登り、神社の境内に腰を下ろした。
「やっぱここはいいよな。さっきまでの地獄の石階段がうそのようだぜ」
裕太はそう言うと寝転がった。
「そうね。あっ」
明美がそう言って空を指をさすと、その方向には飛行機雲が伸びていた。飛行機雲は空の端から端まで伸びており、出始めのところはすでに雲が薄く広がっていた。
「ちょうど町の方角ね。この雲、ひょっとしたら未希たちも見ているかもね」
明美はそう言うと、裕太と同じように寝転がった。裕太は寝転んだまま目を閉じた。
「未希はきっと塾だから見てないって。聡史は運がよければ見ているかもな」
そう言う裕太の顔は、ニヤけていた。
「あんた、何ニヤケてんのよ?」
明美が尋ねた。
「別に。何となくね」
「そっ」
それから2人はしばらく境内で寝転がって、心地よい山の上の風を楽しんだ。
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