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そのお爺さん,名前はリチャードさんというらしい。リチャード・ヘーリング。なんとベタな名前。英国っぽい。リチャードさんは物凄く丁寧に道を教えてくれただけでなく,露店販売の紅茶をご馳走してくれた。英国に来て何回か現地の方に助けられたが,これは1番助かったと実感した。しばし歓談したが,楽しい時間はあっという間。帰らなければ。僕は礼を述べた。するとリチャードさんは「My pleasure」と返してきた。これは至って普通の返しで,よく知られるものだと「You're welcome」と同じ「どういたしまして」である。
しかし思い返せば英国の人は,礼を言われると皆「My pleasure」と返す。僕はこの言葉に感銘を覚えた。彼らにとって,相手の役に立てることは「自らの喜び」なのである。なんて小洒落た素敵な文化だろう。
こうして僕は現地の「英国紳士」がどういう素行か気にするようになった。そして,とりあえず思いついたのが「すれ違い様」である。
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