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朝の紅茶
火曜日の朝。
午前7時15分。
俺の朝食はいつも、目玉焼きを乗せたトーストと紅茶だ。
昔は目覚まし代わりにコーヒーを飲んでいた。
それが紅茶に変わったのは、結婚してからだ。
玲子はコーヒーが嫌いで、紅茶しか飲まなかった。
慌ただしい朝に、二種類の飲み物を用意させるのは気の毒なので、俺が譲歩した。
玲子は、お気に入りのティーポットで、きっちり二人分の紅茶を作ってくれた。
喫茶店で飲む紅茶は、何か物足りない気がしたが、玲子の淹れた紅茶は、コクがあって飲みやすかった。
朝の紅茶は十年続いた。
玲子がいなくなって二日目。
俺は自分で紅茶を淹れた。
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