海の上の邑(むら)。

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荷物を簡単に纏めながら、時間を潰した。 とは言え、どうせまた戻って来るからしっかり荷造りする必要は無いんだけど。 財布と煙草を腰に着けた鞄に納めて窓から外を見れば、船が沢山見える。 ・・・・どうも、次の寄港地は船が集まって出来た集落らしい。 伝声管から下船出来るとの声。 早速、『僕』は海の上にある邑へと降り立った。 地面、と言うには疑問のある、随分不安定な板の上を歩く。 一歩一歩あるく度にギシギシ言って、しかも真下は深い深い海だと思うと少々怖い。 が、板は定期的に交換されているようで存外丈夫らしかった。 集落自体は船が集まって出来ているせいか、余り広くは無い。 半日もあれば廻るには事足りる物だった。 露天商が軒連ね、怪しい売人達が異国訛りの公用語を張り上げる通りを抜けて行く。これもまた、異国情緒。 ぼんやり歩いていると、【日用刃、旅刀等々刃物類ナンデモアリマス】と書かれた看板を見つけた。 ・・・刃物、今のうちに買っておこうかな。何れ必要になるだろうし。
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