海の上の邑(むら)。

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店主は笑うが、『僕』にとっては充分に珍しい品。 鞘の部分には腰に下げるための紐を通す金具が付いていて、鈍い金属光沢を放っている。 其処に、必要なら自分の持ち物だと言う証の飾りも着けられるらしく…。 実用一直なのが潔良くて気に入った。うん、これを買おう。 本当に当たり前の物らしく、べらぼうに安い値段を提示された。 良い品が安く手に入って有り難い。 店主に礼を言って『僕』は店を後にする。 さっき買った小刀を早速腰に下げよう。 似合っているかな? さあ、買い物の再開だ! 露天を冷やかしながら歩いていると、何時の間にか屋台が立ち並ぶ区域へと入っていた。 此処でもやはり【ペタ】を売っている。 ・・・船で食べた物とは中身が違うみたいだな、丁度昼も近いし小腹もすいたので昼食にするか。 看板を見れば、魚と海藻らしき絵。 なるほど、海藻と白身魚を挟んだ【ペタ】か、美味しそうだ。 カウンター越しに頼めばやっぱりあっと言う間に出て来る。 どうやら、注文から余り時間をかけずに食べられるのがこの料理の特徴らしい。 実にお手軽。 『僕』の服装を見た店主は、魚を一切れサービスしてくれる。 旅人はさり気なく得だ。
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