モモコ

6/7
前へ
/160ページ
次へ
そうだ。 私は、もう可愛い。 目の前の醜い物体によく似た、 重い瞼 上向きな鼻孔 不揃いな歯 胸より出た下腹部 全てを“修正”したはずなのだ。 どんなに綺麗にメイクしても、高価で洗練されたデザインの服を着てもドン臭かった女は、もういない。 確かめるように私は鏡を覗き込む。 自分の姿を見ても、恐らく軽く8ケタは超えたであろう手術代はもはや計算するのも、くだらなかった。 ―私は、可愛い。 この世の誰よりも可愛い。 深呼吸をし、呪文のように心の中で繰り返した。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!

409人が本棚に入れています
本棚に追加