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そうだ。
私は、もう可愛い。
目の前の醜い物体によく似た、
重い瞼
上向きな鼻孔
不揃いな歯
胸より出た下腹部
全てを“修正”したはずなのだ。
どんなに綺麗にメイクしても、高価で洗練されたデザインの服を着てもドン臭かった女は、もういない。
確かめるように私は鏡を覗き込む。
自分の姿を見ても、恐らく軽く8ケタは超えたであろう手術代はもはや計算するのも、くだらなかった。
―私は、可愛い。
この世の誰よりも可愛い。
深呼吸をし、呪文のように心の中で繰り返した。
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