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「ん~いい空気だ!おいしい!」
熊本県のとある田舎町にある成森旅館。
周りは森に囲まれ、辺りはバス一台通るくらいの道が一本と人気はない。
「隠れ宿だな。これは。」
腰に手を当て旅館を見つめる柊。
柊と松木・田奈貴の3人は、何度も電車を乗り換え、バスに乗り長い道のりを経てこの成森旅館へやってきた。
「これが成森旅館か。ずいぶんボロっちいな。」
屋根は木の枝が侵略し、壁は所々穴が空いている。
まるで誰かに荒らされたかのような外見だ。
しかし悪いのは見た目だけで、空気は澄んでいて小鳥のさえずりや川の水の流れる音が心を落ち着かせる。
「旅館が綺麗なら最高だ。本当に自然!て感じ。これは温泉が気持ちよさそう!」
無邪気に飛び跳ねる田奈貴。
「その気持ち分からなくもないぜ。この旅館はどうかと思うけどな。」
「なんか久々に松木と意見があったね。あはは~。」
「一言多いわ!」
松木は田奈貴の頭をグーで殴った。
「あはは。面白いなお前ら。ま、ここで立ち話もなんだし早く旅館に入ろう。」
そう言って柊は旅館の扉に手をかけた。
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